第56章

声が聞こえた途端、全てのクラスメートが前田南の方へ視線を向けた。

様々な眼差しが交錯している。驚きに満ちた目、疑惑の目、そしてその中には幸せそうに他人の不幸を眺める二つの視線も混じっていた。

大塚雪見は、思わず噴き出しそうになる衝動を必死で抑えていた。

今度こそ前田南は完全にアウトだ。彼女はただこの成り行きを楽しみに待っているだけだった。

「先生、この紙玉は私のものではありません」前田南は説明しようとした。

しかし先生はまったく聞く耳を持たず、すぐに紙玉を開いて、そこに書かれた答えを指差しながら前田南に詰め寄った。

「はっきり書いてあるじゃないか。言い逃れできるとでも思ったのか?...

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